アダプティブラーニングを学校教育シーンへ

 新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」として「アクティブ・ラーニング」を推進していることは知られていますが、「アダプティブ・ラーニング」(adaptive learning)

という教育手法も推進しています。

 学校教育シーンで導入が始まるICT教育機器を活用した「アダプティブ・ラーニング」について、本校での導入状況を報告いたします。





1. アダプティブ・ラーニング(adaptive learning)とは


 アダプティブ・ラーニング(adaptive learning)とは、「個別最適化学習」と訳され、小中高校の授業で生徒一人一人が個別の理解度に合わせて学習を進める学習方法です。

 




2. 本校のiPadを活用した授業シーンでのアダプティブ・ラーニング(adaptive learning)の取り組み

 


 metamoji classroomの学習支援アプリケーションを活用した授業では、一斉学習の学習形態で授業を進め、問題の解法を進めながら、解法につまづいた時に教員の個別指導をタブレットでその都度先生の個別指導を受ける手法をとっています。




◆ 数学  metamoji classroomを活用したアダプティブラーニング(adaptive learning)





◽️ MetaMoJi classroom 紹介ページ



<上記の学習の支援のステップ>





 またアダプティブラーニング(adaptive learning)として英語の電子教科書を使う学習法を展開しています。

 



◆ 英語 

 Z会 study LinkZ NEW treasure を活用したアダプティブラーニング(adaptive learning)

 



 将来的には、学習者が電子教科書上で学ぶことで、学習進度のログ(記録)をデータとして蓄積できるようになり、同じ問題を出し回答した後、生徒ひとりひとりの得意・不得意なところや問題の解答速度、間違えた回数などを分析、生徒たちの学習ログからつまずきやすい箇所を把握し、そこを重点的にフォローすれば弱点克服に役立ちます。


 またアダプティブラーニングでは学習進度や理解度に合わせて生徒をいくつかのグループに分け、生徒のレベルに合わせて学習を進めることも可能になります。理解がゆっくりなグループには基礎的な問題を反復して学習し、理解度が早めのグループには応用問題を出すことで、各生徒が自分のレベルに合わせて無理なく学べるようになります。






 このようなiPadと学習支援アプリケーションを活用した学習では、解答にかかった時間やつまづいだ課題の情報も学習支援アプリにデータとして蓄積することができます。


 先生はこれらの情報をもとに、その後の生徒の理解度に応じた教材や問題の選択をすることが可能となります。






3. エドテック(EdTech)とアダプティブラーニング(adaptive learning)

 


 アダプティブ・ラーニングはIT(情報技術)の発達により実現できるもので、アダプティブラーニングはエドテック(EdTech)の1つです。


「エドテック」(EdTech)とは総称される Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語ですが、教育とIT(情報技術)の融合でその分野に革新を起こそうという取り組みです。アダプティブラーニングはエドテック(EdTech)の1つです。

 


 Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を合わせた造語であるEDTechは、一般的には教育とテクノロジーの融合によって生まれた新しい教育スタイル・教育サービスを指します。



 紙の教科書の代わりに電子書籍・CD-ROM教材などを使うeラーニングと似ていますが、EdTechでは生徒と教師(または生徒同士)がオンライン上で質疑応答・意見交換しながら学ぶことが重視されます。


 EdTechの発展は、多くの人に質の高い学びのチャンスをもたらします。


 EdTechの代表例として知られるMOOCs(Massive Open Online Courses)は、国内外の大学のオンライン講義を原則無料で受けられるシステムです。


 海外の授業の中には日本語字幕をつけられるものもあり、言葉の壁も簡単に超えることができます。


 ◽️  MOOCs(Massive Open Online Courses) WEBサイト

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4 EdTechが可能にするアダプティブラーニング



 EdTechの発展によって従来の教育のしくみにとらわれない学びが可能になり、ラーナーセントリック(learner centric、学習者中心の学習モデル)が進みつつあります。上述のMOOCsはもちろん、アダプティブラーニングもラーナーセントリックのよい例です。



 また、EdTechの発展によって教育提供者側の新規参入に対するハードルも下がりつつあります。今後、さらに上質なアダプティブラーニングサービスが登場する可能性は大いにあると言えます。




◽️  EDTech  紹介サイト




5 アダプティブラーニング(adaptive learning)の今後の運用

 

 一人ひとりの習熟度・理解度に応じて、問題の難易度や必要とする学習概念を最適化する学習方法(=適応学習)であるアダプティブラーニング(adaptive learning)は、「一人ひとりにあわせた学びの提供」とも言え、学習者一人ひとりで得意科目や苦手な分野は異なり、苦手になったきっかけも人それぞれで、得意科目であっても特定の分野は苦手というケースもあります。


 特に積み重ね学習が重要な学習ではこのような状況を解決するには、つまずいたところまで遡って学びなおす必要があります。


 従来の一般的な授業は、あらかじめ組まれたカリキュラムに沿って進められますが、すべての生徒がすんなり授業内容を同一の理解できるとは限りません。


 そのため途中で授業の進度が合わなくなることや、どんどん自分のペースで学習を進めていきたい生徒が現れることがあります。


 アダプティブラーニングはそうした学びのミスマッチをなくし、ひとりひとりが効率よく学べるシステムとして期待されています。


 生徒の進捗に合わせた学習内容の調整は従来から全ての授業で行われていますが、今後のアダプティブラーニングではICT技術の活用によって今まで以上に学習内容・学習レベルを個人に最適化しやすいという特長があります。


 本校では ICTを活用し学習データ等を活用した学習状況の「見える化」等による個に応じた指導であるアダプティブ・ラーニングの学習形態がスタートしました。


 このようにアダプティブラーニング(adaptive learning)は、Society5.0の新たな時代に対応するための「EdTechを活用したこれからの学習のあり方」を見据えた先駆的取組みであると考えています。





参考資料


◆ 文部科学省 

 新たな時代に対応するためのEdTechを活用した教育改革推進プロジェクトチーム

「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性」





◆ Society5.0時代の経済社会に必要な力 -「課題発見・解決力」「創造性」関連資料

未来投資会議 構造改革徹底推進会合 「企業関連制度・産業構造改革・イノベーショ ン」

会合(雇用・人材) 資料5    平成30年2月21日(第3回)

(ダウンロード資料はこちらから)

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ICT教育 聖徳大学附属女子中学校高等学校

聖徳大学附属女子中学校高等学校 information and communication technology education